理事長ごあいさつ
ごあいさつ
私共が大子町と、大子町周辺地域の皆様方の健康を願い、医療法人聖友会 慈泉堂病院を創設いたしましたのは、平成元年11月4日でした。以来今日まで、24時間救急医療体制の充実化、生活習慣病に対する診断・治療技術の向上、さらに高齢者の方々の健康管理と指導に主眼点をおき、地域医療に努めてまいりました。その間、第2次救急病院の指定、泌尿器科、眼科、リハビリテーション科等、そして介護保老人健施設「やすらぎ」の併設を行い、より充実した医療体制をめざしてまいりました。
ご存知の様に最近の医学は、バイオテクノロジーをはじめ、臓器移植、遺伝子治療、さらには再生医療と、著しく高度化しております。しかし、遺伝子研究を例にとれば、本来の目的は病気の予防であり、一人ひとりに応じたきめ細かな医療によってもたらされる、生活の質の向上であると言われております。
今後さらに医療技術が進歩しても、健康と病気は、常に私達にとつて重要なテーマであるものと思われます。21世紀、新たな時代を迎え、私達は身近に存在する「健康と病気」について、もっと皆様と共に語り、歩んでまいりたいと存じます。
茨城県大子町は、人口1万8千人の小さな町で、高齢化率が40%という日本の将来を先取りした町です。周辺の大きな地方都市である茨城県水戸市、日立市、栃木県大田原市、福島県白河市には、車で1時間以上も要し、地理的にはある意味では隔絶された町でもあります。私の持論ですが、町が町として機能するためは、さらにそこに居住している住民が安心して暮らし続けるためには、学校と病院という2つの公共的な機関の存在が必須と考えています。都市部と大子町のような地方の医療は、自ずとその医療サービスの在り方、提供の仕方・内容に差異がありますが、人間個々人の重みは、皆同じですので、地方の町村といえども、そこで日々暮らしている住民には、安心した、心の通った、質的に平等な医療サービスを享受して頂きたいとの思いが人一倍強くあります。このような思いから、救急患者様に対しても安心してきていただけるような24時間体制を敷いて、上述したように慈泉堂病院を運営・継続してまいりました。この使命感を心に抱きながら、今日まで約25年間の毎日を、無我夢中で、病院という非常に狭い世界ではありますが走り続けて参りました。その間、思いを同じくする医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士、医療事務担当者等とともに、年々厳しさを増している医療環境の中、使命を果たして参りました。都市部でご活躍の医師・看護師には見えにくい問題・課題も多々ございますが、地方ならではの喜びもあり、我こそはと思われる医師・看護師等医療従事者がおられましたら、その方々の思い・人生観を1つにしながら、日本の医療に関する将来図をこの地で描くことも、私の夢であります。蛇足ではありますが、大子町は、光と風に満ち溢れた大自然の中でゆっくりと息吹きしており、山紫水明そのものです。そして、余り知られてはおりませんが、大子町は、レスリングが盛んな町でもあり、我が聖友会職員のご子息・ご令嬢の中には、全国的にも名を轟かせている方が数名おられますことも、私どもの誇りの一つです。
最後になりましたが、医療環境的に安心して暮らせる地域を、地域基幹病院との緊密な連携をとりつつ、守っていくことが、私の使命であると確信しております。
医療法人 聖友会理事長 鈴木直文
(大子町風景)